遠山の山肉料理
遠山の山肉料理
食べて学ぶ・・人と獣の交流史
遠山の名物と言えば、猪や鹿、ときには熊などの山の肉。 狩猟期間中には何十kgもの大物が、 村内外の猟師さんたちによって和田の肉屋さんにかつぎこまれます。 南信濃村を代表する二大名店にインタビューしてみました。
山肉料理の新境地へチャレンジ
- 山肉料理店星野屋 四代目 片町元彦さん
「現代人はたくさんお肉を食べますが、畜肉と山肉は根本的に違います。
獣とつきあってきた猟師や料理人が一番実感してることですが、木の実や根などを食べて育った獣の肉は、内臓まで驚くほどきれいなんです。
考えてみれば、これほど安全な肉ってないですよね。
野生獣の肉はフランスなどで『ジビエ』と呼ばれていて割とポピュラーなのですが、いま日本でも山肉を見直そうということで、都市部のレストランなどではかなり需要が高くなっています。
ぼくが東京で中華を修行していたときも、『この料理法を、どうすれば山肉に応用できるか』という考えが頭から離れませんでした。
ぼくは薬膳料理に力を入れたいと思っているんですが、山肉はまさしく優れた健康食材です。
鹿肉は江戸時代まで、薬として食べられていたほどですから。
今は保健所の指導で鹿刺がお出しできないのが残念ですが、山肉の調理法は、シンプルなのが一番です。
でも、「固い、臭い、格好悪い」という山肉のイメージを払拭するためには、料理にもいろいろと工夫をしていきたいと思います。
鹿のハンバーグやコロッケは以前から出していますが、評判がいいのは鹿ステーキですね。
弟の公彦(まさひこ)が、現在イタリアンを勉強中です。
彼が腕を上げてくれば、山肉も変わった視点から料理することができるのではないかと期待しています。たとえば鹿のフランクフルトやピザ。
狂牛病や鳥インフルエンザなど、大量飼育の畜肉にはいろんな問題が出てきています。
薬を与えて太らせれば、たしかに柔らかい肉になるでしょう。
でも、やっぱり自然の生き物の、健康な筋肉としての柔らかさを、料理に生かしていきたいと思います。
地元の水、地元の食材を使った料理を、この遠山でゆっくりとお客さんに食べてもらいたいですね。
食の原点を見つめながら、一方で親しみやすさ、食べやすさも追及するのが大切だと思います。弟とも話しているんですよ。
若い連中が、新しい味や特産にチャレンジして、もっとこの土地を盛り上げていかなきゃ、ってね」
- 山肉は煮込むほどに柔らかくなる
◆星野屋 /TEL0260-34-2012 椋鳩十など、様々な著名人に愛されてきた山肉料理の老舗。店舗の地下には剥製展示場があり、人と動物との関わりについてマジメに考えるきっかけになるかも。
猟師と肉屋の腕次第
- 肉のスズキヤ 若旦那 鈴木理さん
「うちは村内外の26組の猟師と契約していて、扱っている山肉はすべて狩猟肉です。
山のものはみんな動いてます。毎年安定した数の獣が獲れることはないし、美味しい時期も限られています。
例えば9月から11月の鹿は煮たり焼いたりに向きますが、刺身にできるのは11月以降。
冬は雑菌がついていないのでいいんですよ。
熊は冬眠前、12月が一番脂がのっていて美味しいですが、いまでは里へ出て駆除された時くらいしか手に入りません。猪はワタ(内臓)抜きで体重60kgを越えるくらい大きくなると、肉のクセが強くなります。
肉の味は、撃ち取った直後の獣を猟師がいかに手際良く処理できるかによって、大きく左右されます。
血抜きや内臓の処理ばかりでなく、獣の体を上手に冷やすことが必要ですから。
運びこまれた獣を迅速に処理するために、うちでは平成16年から五人体制で対応します。
山肉の旨さは、猟師さんの腕と肉屋の努力にかかっているんですよ」
◆ 肉のスズキヤ /Tel0260-34-2222
秘伝の遠山ジンギスと狩猟肉が看板商品のお肉屋さん。一家言をもつ若旦那と、飾り気のない大旦那。山肉同様、独特の”味”をもつ二人の人柄が、常連さんに人気です。
- 獲れたばかりの雄鹿(池口にて)
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