此田神楽は、伊勢太神楽の系統を引いているといわれます。
では、太神楽とはいったいどんな神楽なのでしょうか。
伊勢太神楽を全国に広めたのは、伊勢神宮の御師と呼ばれる人々です。
御師とは全国各地を回って神札を配り、また代参の手助けなどをして奉納金を得る下級神職のことで、ひらたく言えば神社の営業マンといったところでしょうか。
伊勢神宮では、鎌倉時代以降から多くの御師たちが活躍し、その結果江戸時代になるとお伊勢参りが大流行しました。
伊勢の御師たちは、はじめは信者のために神楽や湯立による祈祷を行っていましたが、やがて彼らの中から獅子舞 (※注1) を演じて檀那場(毎年の得意先)を回る人々が現れました。これが、伊勢太神楽のはじまりです。
太神楽は「大神楽」とも「代神楽」とも表記され、その語源は伊勢に直接参拝する代わりだからとも、大神宮神楽の省略であるとも言われています。
やがて神楽師たちは、獅子舞に加えて“放下”と呼ばれる曲芸を織り込むようになりました。「綾採の曲」「手まりの曲」「傘の曲」などの巧みな技で人々を喜ばせ、初穂料のアップと顧客の新規開拓を図ったのです。
